漢字と熟字訓の由来を巡る旅

漢検準1級と1級に役立つよ

番外編 部首の話 その1  (漢検に役立つよ)

 

部首は、字書によって多少の違いがあるのだが、ここでは漢検に準拠したお話。

 

「あっ、そこなん?」っていう部首

問題1. 「黙」の部首は? 

これはもう「灬」(れっか、れんが)でしょう。いや、問題に出すくらいだから、ひっかけで「里」(さと)かな、もしかしたら「犬」(いぬ)ってこともあるのかな、と思うかもしれませんが、正解は「黒」(くろ)でした。「あっ、そこなん?」って思いませんか。まあ、意味を考えると「黒」が合っているのかもしれませんが。

では、気を取り直して、問題2. 「率」の部首は? 

これは「亠」(なべぶた)しかないでしょ。あれっ「十」の可能性もあるんかな、まさか意表をついて「幺」(いとがしら)なんてことも? と考えるのが普通だと思う。正解は「玄」でした。「玄」は細い糸を表していて、それが左右に散らばるのを「十」でまとめる様子を意味しているのだそうだ。字書によっては、「亠」としているものもあって、「十」も含めて、3つの部首をOKとすることもあるようだが、意味からするとやはり「玄」でいい(漢検でも「玄」)。

問題3.「幸」の部首は? 

「土」辺りが妥当かな? 

正解は「干」でした。この「干」という部首に特別な意味はなく、単に字形を分類するための部首とのこと。まあ、そうならそう覚えておくしかない。

ならば、問題4.「報」の部首は? 

これはもう簡単、さっきの「幸」のことを考えれば「干」しかないでしょ。と思ったら、正解は「土」。何で?? そもそも土とは関係ないし、だったら「干」でよくない? ちなみに「執」の部首も「土」となっている。ならば「幸」の部首も「土」にした方がすっきりしないか?

続いて、問題5.「垂」の部首は? 

この漢字は、土に実った穂が垂れている様子から作られた漢字とのことで、正解は「土」。確かに「土」という字が含まれている。

では、問題6.「乗」の部首は? 

この漢字は、木にまたがって上る人を描いた象形文字だということだ。ならば「木」に間違いないでしょう、さっきの「垂」の例もあるし、と思ったら、なんと「ノ」(の・のかんむり・へつ・へち)。「ノ」という形を表すだけの意味のない部首でした。「木」でええやん、と思う。

最後に、問題7.「奉」の部首は?

どこに部首らしきものがあるのか。下の部分の「キ」みたいな部首はないし、「三」という部首もなく、もしかして「人」? 正解は「大」でした。ああ、そこなんや。ちなみに「奏」の部首も「大」。なるほど、パターンが読めたぞと思っていたら、「春」の部首は「日」で、「泰」の部首は「水」でした。

 

「えっ、そっちなん?」っていう部首。

問題1.「酒」の部首は? 

小学校3年生で習う漢字、そんなに難しくもない。水に関係するのが「氵」(さんずい)だと習ったし、もうこれは「氵」でしょ? 残念ながら正解は旁の方の「酉」(さけのとり、ひよみのとり)。これに関してはどの字書も「氵」でもいいとは言ってくれない。十二支の十番目「とり」に使われる文字だから「日読みの“とり”」で、口の細い酒壺を描いた象形文字なので、酒に関する漢字に用いられる部首。

問題2.「初」の部首はどっち? 「衤」(ころもへん)なのか、「刀」なのか。

この漢字の意味はというと、「衣料に対して、最初にはさみを入れて切ること」となっている。意味を考えても、どっちが部首でもええやん、と思うのだが、正解は「刀」の方でした。

問題3.「巡」の部首はどっち? 「辶」(しんにょう)なのか「巛」(まがりかわ)なのか。

普通に考えると「辶」(しんにょう)でしょうね。「巛」(まがりかわ)なんて部首、聞いたこともないし、意味を考えても「辶」で何ら問題ないし。けど、正解は「巛」。いやいやこんな部首、わざわざ使わんでもええやん。だって「巛」を使う他の漢字「災」の部首は「火」、「甾」(漢検配当外)の部首も「田」、なんで「巡」だけのために「巛」などという部首を?