漢字と熟字訓の由来を巡る旅

漢検準1級と1級に役立つよ

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

55 花の咲かない植物  (漢検準1級と1級に役立つよ)

花の咲かない植物 現在の分類では、植物は大きく種子を持たないコケ植物、シダ植物と種子を作る種子植物に分けられる。種子植物の中で、胚珠(種子になる部分)がむき出しのものが裸子植物で、子房に被われているのが被子植物である。美しい花は花粉の媒介者…

番外編 部首の話 その1  (漢検に役立つよ)

部首は、字書によって多少の違いがあるのだが、ここでは漢検に準拠したお話。 「あっ、そこなん?」っていう部首 問題1. 「黙」の部首は? これはもう「灬」(れっか、れんが)でしょう。いや、問題に出すくらいだから、ひっかけで「里」(さと)かな、もし…

54 変わった哺乳動物  (漢検準1級と1級に役立つよ)

変わった哺乳動物 哺乳動物の中に嘴(くちばし)を持ち、卵を産むカモノハシという動物がいる。鳥のようだが翼を持たず、母乳で子供を育てることから歴とした哺乳動物で、カモのような嘴を持つことから「鴨嘴獣」(かものはし)と書く。 またカンガルーに代…

53 サルビアとラベンダー  (漢検準1級と1級に役立つよ)

シソ科 俗にハーブと呼ばれる植物があるが、ハーブに明確な定義があるわけではない。ハーブとはもともと草を意味するラテン語で、現在は薬効のある植物全体を総称している。ハーブの多くは香りの強い、セリ科やシソ科の植物である。 「紫蘇」(しそ)の名は…

52 ヒノキ  (漢検準1級と1級に役立つよ)

ヒノキ 「檜」(ひのき)は台湾と日本にしか分布しない針葉樹で、大きいものでは30mを超える。和名は「火の木」に由来し、昔この木を擦り合わせて火を起こしたことによる。強く、ゆがみにくく、加工しやすくため、古くから建材として用いられてきた。 アスナ…

51 6月の誕生石と香木  (漢検準1級と1級に役立つよ)

6月の誕生石と香木 6月の誕生石はムーンストーンと真珠、欧米ではアレキサンドロライトも挙げられる。月の石の名を持つムーンストーンは淡い乳白色でまさに月の光のような光沢を放つ。和名も「月長石」(ゲッチョウセキ)である。 真珠は6月の誕生石だが、冠…

50 5月の誕生石と美女  (漢字検定準1級と1級に役立つよ)

5月の誕生石と美女 5月の誕生石は、「緑玉」(リョクギョク)あるいは「翠玉」(スイギョク)と呼ばれるエメラルドである。エメラルドグリーンという色があるように鮮やかな緑色をした宝石だが、石の成分はアクアマリンと同じである。ベリリウムを含んだベリ…

49 オスとメス  (漢字検定準1級と1級に役立つよ)

オスとメス 動物の性別は、「雄」と「雌」、あるいは「牡」と「牝」という漢字を用いる。しかし中にはオスメスの意味を含んだ漢字がある。 オシドリはカモの仲間で「鴛鴦」(エンオウ)と書き、「鴛」はオスのオシドリを、「鴦」はメスのオシドリを意味する…

48 4月の誕生石と天使の薬  (漢検準1級と1級に役立つよ)

4月の誕生石と天使の薬 4大宝石とは、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドのことを指す。宝石と呼ばれるためには、美しさもさることながら、その希少性や耐久性も条件となる。ルビーは紅玉、サファイアが青玉、エメラルドが緑玉と呼ばれるように、…

47 3月の誕生石と藍  (漢検準1級と1級に役立つよ)

3月の誕生石と藍 (タデ科) 3月の誕生石はアクアマリンと「珊瑚」(さんご)である。 アクアマリンは海の水という意味で、石はその名の通り海の色のような透き通った水色をしている。ただしアクアマリンを色の名称として用いると青と緑の中間色でかなり濃い…

46 2月の誕生石と紫  (漢検準1級と1級に役立つよ)

2月の誕生石とムラサキ 2月の誕生石アメジストは紫色をした水晶である。水晶(クリスタル)とは二酸化珪素が結晶化してできた石英(クウォーツ)という鉱物のうち、特に結晶度の高いものを指す。水晶は古くから「玻璃」(はり)と呼ばれて珍重された。 石英…

45 1月の誕生石とザクロ  (漢検準1級と1級に役立つよ)

1月の誕生石とザクロ 誕生石とは1月から12月までのそれぞれの月に因んだ宝石のことで、自分の生まれた月の誕生石を身に着けると幸運が訪れると言われている。その起源は聖書にあるとされるが、月ごとに誕生石が定められたのは意外と新しく、20世紀に入ってか…

44 赤いスイートピー  (漢検準1級と1級に役立つよ)

赤いスイートピー (マメ科) マメ科の植物は花も木も多種多様で多くの種を含むが、種子が莢に覆われているのが最大の特徴である。一般に根に根粒菌という細菌を持ち、これが空気中の窒素を植物が使いやすい硝酸塩に変換してくれるため、やせた土地でも育つ…

43 脚の多い虫  (漢検準1級と1級に役立つよ)

脚の多い虫 虫の脚の数が6本を超えると、喩えどんなに益虫であっても、たいてい人には嫌われる。あまり関わりたくはないのだが、熟字訓がいくつかあるので触れておきましょう。 クモは通常人に害を与えない益虫なのだが、見た目もさることながら、その巣が…

42 テントウムシ(「虫」の付かない虫)  (漢検準1級と1級に役立つよ)

「虫」の付かない虫 「紅娘」と書いて(てんとうむし)と読む。「紅娘」は赤くて可愛らしい姿を娘に見立てたものである。漢名では「瓢虫」(てんとうむし)と書いて、これは形が瓢箪に似るからである(瓜の葉によく付くから、という説もある)。テントウムシ…

41 カマキリとコオロギ(「虫」の二つ付く虫) (漢検準1級と1級に役立つよ)

カマキリとコオロギ(「虫」の二つ付く虫) 虫を表すのに虫偏の漢字2字を使うことがけっこう多い。いずれも2字を合わせて和名となる熟字訓である(熟語ではない)。 「蟷螂」(かまきり)は気性が荒く、何にでも立ち向かっていく男らしい昆虫である。「當…

40 パパイヤとマンゴー  (漢検準1級と1級に役立つよ)

パパイヤとマンゴー(外来の果物) 果物と野菜の違いは何か。行政上の分類では、一年性作物などの草本類が野菜で、永年性作物の木本類が果物とされる。つまり種をまいたら1年で花を咲かせ、収穫したらそのあと枯れる草本類が「野菜」で、何年もかけて成長し…

39 ウメとモモとサクラとイチゴ  (漢検準1級と1級に役立つよ)

ウメとモモとサクラとイチゴ バラの花と言えばもっぱら観賞用だが、バラ科の植物には梅、桃、桜に始まり、林檎、梨、枇杷、李(すもも)に杏(あんず)から苺まで多くの果実植物が含まれている。 「庭梅」(にわうめ)は庭に植える木で梅のような花を付ける…

38 水鳥  (漢検準1級と1級に役立つよ)

水鳥 一言に水鳥と言っても、身近な公園の池や田んぼから、河川や湖沼、海辺の砂浜や断崖絶壁の岩礁地帯に至るまで棲む場所も違えば、姿形も様々である。 水鳥でまず思い浮かぶのは、池や湖があれば必ずといってもいいほど見かける雁(がん)や鴨(かも)の…

37 夜の鳥  (漢検準1級と1級に役立つよ)

夜の鳥 一般的に鳥は夜、ものが見えなくなるため、夜行性の鳥は珍しく、全鳥類のうち3%にも満たない。 「夜鷹」(よたか)は夜の鷹と書くように、典型的な夜行性の鳥である。しかしタカの仲間ではなく、フクロウに近い種である(ヨタカ科)。蚊などの虫を主…

36 猛禽類  (漢検準1級と1級に役立つよ)

猛禽類 猛禽類とは鋭い嘴(くちばし)と爪を持ち、他の小動物を捕食する鳥の総称で、具体的にはタカ目(タカ、ワシなどの仲間)とハヤブサ目とフクロウ目のことを指す。 タカ目にはタカ科、ミサゴ科などがあり、タカ科のうち大型のものは「鷲」(ワシ)、比…

35 海の付く動物  (漢検準1級と1級に役立つよ)

海の付く生物 海の中には月もあれば星もある。「海月」と書いて(クラゲ)と読む。丸い形をして海に浮遊する様を月に見立てたのだろうが(ポルトガル語で“海の月”ということが由来とも)、漢名からは「水母」と書く。クラゲには目がないので常に多くのエビを…

34 軟体動物  (漢検準1級と1級に役立つよ)

軟体動物 軟体動物とは、イカやタコ、貝やウミウシなどの総称である。 貝類は一般的に二枚貝と巻貝とに分けられる。二枚貝には「蛤」(はまぐり)、「蜆」(しじみ)、「蚶」(あかがい)、「蟶」(まてがい)、「蚌」(どぶがい・はまぐり)などが一字で貝…

33 爬虫類と両生類と甲殻類  (漢検準1級と1級に役立つよ)

爬虫類と両生類と甲殻類 虫という字はもともと、まむしを象った象形文字であり、蛇などの爬虫類を表していた。昆虫などの小さな虫を表す漢字は本来「蟲」と書き、のちにこの字は省略されて「虫」という字になったので、今は「虫」の字がどちらの意味をも持っ…

32 海の哺乳動物  (漢検準1級と1級に役立つよ)

海の哺乳動物 哺乳動物の中には完全に海での生活に適応した海棲動物(海獣という)がいる。3大海獣と言えば、完全に海だけで生活をするクジラやイルカの仲間(鯨類)と、ジュゴンの仲間(カイギュウ類)、そして普段は陸上で生活をするアザラシやアシカの鰭…