漢字と熟字訓の由来を巡る旅

漢検準1級と1級に役立つよ

番外編 部首の話 その2 (漢検に役立つよ)

部首の話 その2

 

「いや、形がちょっとちがうやん」っていう部首。

問題1.「才」の部首は? 

「一」かな「ノ」かな。それとも「亅」(はねぼう・けつ)か。

正解は「手・扌」(て・てへん)。えっ? いや「扌」(てへん)に似てるけど、ちょっと違うやん。「ノ」の部分の跳ねる向きが逆やし、意味も「手」とは関係ないし。まあ要するに、持っていく部首がなかったから、似てるし、これでええやん的に決められた部首のようだ。

続いて、問題2.「舎」の部首は? 

これはもう「𠆢」(ひとがしら)でいいでしょう。あれ、ひょっとして「口」ってこともあるんかな? ということで、正解は「舌」。いやいや「舌」とは形が違うし、意味も関係ないし、と思うのですが、「舎」の旧字体が「舍」で、これを簡略化したのが「舎」なのだそう(全然、簡略化したようにも見えませんが)。なので「舗」の部首も「舌」ということになっている。字書によっては部首を「𠆢」にしているものもあるが、漢検では「舌」。

問題3.「承」の部首は? 

思いつくのは、「水」とか「亅」(はねぼう・けつ)という部分だが、「承」の縦棒の部分は、まっすぐな縦棒ではなくゆるくカーブをつけて描くのが普通だし、ということで正解は「手」。真ん中の部分が「手」。うーん、これもちょっと形が違うやん、と思うんですが、手を上げて承る(うけたまわる)様子からできた象形文字だそうで、そう言われればしょうがない。

問題4.「粛」の部首は?

これも、考えても出てこないでしょう、ちょっと形が違うから。

正解は「聿」(ふで)。聿(ふで)を持って、深い淵のほとりに立ち、身の引き締まるさま」を表す漢字ということだ。旧字体「肅」が、「聿」と「淵」を合わせてできた漢字だから。

 

「そんな部首があったんや」っていう部首

問題1.「高」の部首は? 

これはもう「亠」(なべぶた)でいいでしょ。あれっ、「口」ってこともあるんかな? 

正解は「高」、この漢字は「高」そのものが部首なのである。そういえば「推敲」の「敲」っていう漢字もあるからな、と思われた方は鋭いけど残念。「敲」の部首は「攴」(のぶん・ぼくづくり)でした。じゃ、じゃあ「高」を部首とする漢字ってあったっけ、と思うんですが、調べてみると「髞」「髛」「髜」などあって、まず使われることのない(はっきり言って知らなくてもいい)漢字です。

問題2.「鼓」の部首は?  はい、これも正解は「鼓」(つづみ)です。

他にも、一見他の部首に属してそうで、その漢字自体が部首となっている漢字には、「青」「赤」「黄」「白」「黒」「辛」「香」「飛」「亀」「鼻」「歯」などいくつかある。

部首というのは漢字を分類した際、どれに属するか定めたもので、字書によって多少異なる。 漢字の字書には2つの大きな権威があって、一つは後漢に編纂された最古の字書『説文解字』。これには9300以上の漢字が540の部首で分類されている。 もう一つが清の康煕帝勅撰による『康煕字典』で、収録字数はなんと47035字、部首の総数は214あり、現代使われる漢字はこの字典が土台となっている(漢検も)。

部首とは、要するに索引なので、考え方によって(字書によって)異なることがしばしばあって、どれが正しいというものでもない。字書によってはその幾つか~全てを部首として探しやすくしている場合もある。ただ、漢検で合格するためには日本漢字能力検定協会に準拠した部首を覚える必要があるので、ときに感心しながら、ときには驚きながら、楽しく勉強するのがいいと思う。

部首の話の最後に、紛らわしい部首の漢字をいくつか。全部わかれば、すごい。

問題. 以下の漢字の部首は?

1.全  2.巨  3.冬  4.次  5.台  6.去  7.主  8.年  9.唐

10.並  11.輝  12.相  13.司  14.史  15.具  16.真  17.命

 

答え

1. 入  2. 工  3.冫  4.欠  5.口  6.ム  7.丶  8.干  9.口 

10.一  11.車  12. 目  13.口  14.口  15.ハ  16.目  17.口